本年度、大磯町(神奈川)でフィギャーノートが導入されましたが、学校にはまだ知名度が低く、子どもたちが望むような公的な導入はほとんどありません。そこで個人会員として実際に授業で活用されている先生から、利用の感想をお寄せいただきました。
「小学校でのフィギャーノートの活用について」
2022 年 7 月 18 日(月) 沖縄市立宮里小学校 喜納由優美
1.フィギャーノートを音楽の授業で取り入れようと思ったきっかけ
・リコーダー演奏や読譜が苦手な子、特別支援学級の子も、音楽が得意な子と同じように音楽体験をしてほしい と思ったからです。
・演奏するためには、1リズムが読める 2階名が読める 3指使いが分かる(鍵盤楽器なら音の位置が分かる) の3つの段階を踏んで、その上でスムーズに演奏できるように練習を行いますが、 音楽が苦手な子は、1の段階から苦手意識を持っていて、器楽合奏などでは、その時点で選べる楽器がせばま ってしまうというのが、課題でした。フィギャーノートを活用すると、どの子も色んな楽器やパートにチャレンジ できるというメリットがあります。
・器楽合奏をしたり、リコーダーの実技をする時に、必要に応じてフィギャーノートが必要な子は活用させるとい う風にすることで、個別最適化を図り、限られた時間の中で様々な演奏体験をさせることができました。
2.フィギャーノートの良さ
〇音楽の知識や読譜の能力差をなくしてくれる。
〇五線譜を読むのが能力的に厳しい子(LD 等…)も他の子と同じように演奏に参加できる。
〇自分の練習したいタイミングで自分のペースで練習ができる。(自閉傾向のある子等も安心して練習できる)
〇どうしていいか分からなくて、ぼーっとする時間が無くなる。
〇タブレットとの相性が良い(フィギャーノートの楽譜+音源をつけた動画を作成し児童に配信。各自自主練習をすることができる。)
〇読譜の時間が省ける分、短い期間で器楽合奏などを仕上げることができる。(子ども達が自分で進められるので質問が減り、教師にゆとりができ、支援が必要な子に対応しやすくなる。)
○特に音楽の知識や技能、経験差が顕著になってくる、小学 5 年生くらいからは、フィギャーノートの活用があっても良いと思う。
○日本語が通じない外国の子も、フィギャーノートを使ったら、一緒に演奏できた(これは何度も実践済み。外国ではリコーダーは無いので、指使いが全く分からない。階名もドレミじゃなくて CDE・・・だったりするので、 そういう場合でも、問題なく使用できる)
3.フィギャーノートの課題
●フィギャーノートの準備に手間がかかる。自分でフィギャーノートを作るのも時間とライセンス、お金が必要。 (拡大教科書みたいに、フィギャーノートも教科書用のものがあればいいな・・・。現在教科書教材はハピミューズ から購入して使っているが、デジタル教科書に五線譜と共にフィギャーノートがあったら使い勝手が良くなると 思う)
●五線譜の読譜は音楽の基礎だと思うので、そこをしっかりとやった上で、フィギャーノートを活用する場面 (子)、あえて使わない場面(子)、と教師が判断することが必要。
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」 ↑この塩梅をいつも頭に巡らせながら、児童一人一人の課題に合わせてフィギャーノートを活用するようにしています。
●使用する上での制限が多いので、学校に 1 人ライセンス保持者(*1)がいたら、その学校はフィギャーノートの使用を許可する、だったら有難い(担任は忙しくて音楽の授業は後回しになるので、音楽専科が研修を受け、学校 の先生方に啓蒙していく感じで・・・・)
~フィギャーノートが世に知れ渡って、必要な子ども達の所に届くよう切に願っています~
(*1)編集部補足 フィギャーノートは五線譜に代わる世界共通の楽譜として広がりつつあります。日本では誤用やデザイン盗用を予防するため、指導者には会員登録と指導者研修会の受講をお願いしております。学校単位の利用についても、過去に担当の先生への伝わり方が不十分なためにうまく活用できなかった事例が散見されたため、現在ご利用される先生方を対象に、導入研修を実施しています。
保護者の声は こちら
専門家による推薦のことばは こちら
8月の体験会は こちら
会員登録と指導者研修は こちら
お問い合わせは こちら