中川信子さん (HAPPYMUSE顧問、言語聴覚士・子どもの発達支援を考えるSTの会代表)>>HOME
「ともに歌う」ために
「音楽は世界をつなぐ」といわれます。演奏を聞いているだけで目の前に風景が広がったり、歌を聞いてなぜか涙が出てきたりします。音楽や歌は人や国の境い目をやすやすと越え、心から出て、心へと届くからなのでしょう。
音楽を通して味わえる深い喜びや交流の実感を、子どもさんたちに多く経験させてあげたいといつも思っていました。そういう経験が、「人は信じるに足る」「人生は生きるに値する」と思える力につながると考えるからです。
そのために、自分が実際に演奏したり、歌ったりできるに越したことはありません。でも、楽譜は読むのも難しいし、楽譜どおりに演奏するのは、もっと難しい。
口伝えで覚えてゆくにも限界があります。
はじめてフィギャーノート(絵音符)のことを知ったとき、直感的に「なんてすばらしい!」と思いました。フィギャーノートを導入した音楽活動を行っている狛江のお子さん達が嬉々として演奏している姿を見るにつけても、この喜びを、たくさんの人に知ってもらいたいと思っていましたが、なかなか世の中にゆきわたらず残念でした。
このたび、フィギャーノートの普及活動に積極的に取り組むために一般社団法人フィギャーノート普及会HappyMuseが創設されたことを、大変うれしく思っています。
「ともに歌う」ことのできる日をめざし、HappyMuseの活動が全国規模で展開されていきますよう、応援しています。
NPO法人 発達(はったつ)サポートネット バオバブの樹(き) ことばと読(よ)み書(か)き すーふ 言語(げんご)聴覚士(ちょうかくし) 沖村(おきむら)可奈子(かなこ)さん
私が日々出会う、発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害=学習障害の中心的な症状です)のお子さんたちの多くが、通常学級の中で、人知れずたくさんの不便を抱えています。音読がすごく苦しいことだったり、教科書やテストにふりがながないために、読んでもすっとは理解できなかったり、黒板をノートに書き写すのが遅いため、しんどくなって書くのをやめてしまったり、覚えたはずの漢字が頭から消えてしまったり・・・そんなお子さんたちの多くが、「楽譜わけわかんない」と教えて下さいます。「音楽は好きなのに、楽譜がわからないから、鍵盤ハーモニカやリコーダーは嫌だ」と。でも、彼らが「楽譜を読むこと」に大きな困難を抱えていることに、多くの場合気づかれません。楽譜を見ながら演奏することが、とても苦しいわけのわからないことのまま、学校生活が過ぎていきます。
そんな彼らにとって、同じように苦手な仲間と一緒に、フィギャーノートを使って楽器の演奏を教えてもらえる、松田先生とのグループワークは心躍る時間です。ただただ悪戦苦闘し、諦めてしまっていた時間が、「わかる!できる!」「楽しい!」と思える時間に変わります。「これが小学校の時にあったらなあ・・・」大学生になったお兄さんも嬉しそうです。「できないからやりたくないだけで、やれる方法があればやりたかった」別のお兄さんもこう語ってくれます。フィギャーノートはディスレクシアのこどもたちが音楽を学ぶことを諦めずに済む有効なツールです。
でも、彼らは「学校では使わない。誰も使わないから。」と口を揃えて言うのです。
フィギャーノートがクラスで当たり前に選べる選択肢として、広まっていきますように!
「特別なもの」ではなくなりますように!
私も彼らが学校で音楽を学ぶ機会を奪われない日が来ますように、HappyMuseさんの活動を応援していきたいと思います。
*月に一度、フィギャーノートを使っての音楽療法のグループワークをお願いしています。